2021 年 36 巻 4 号 p. 552-559
目的:当院の人間ドック腰椎検診では,腰椎のX線撮影を臥位AP(Anterior Posterior;前後)で撮影している.今回,脊椎ドックガイドラインが推奨する立位PA(Posterior Anterior;後前)撮影に取り組んだところ,立位PAは臥位APに比べ,荷重位により腰椎が左右どちらかに傾く症例が散見し,その有用性を検討した.次に,胸部XPを胸椎が観察できるように処理した画像(胸椎画像)と腰椎画像を貼り合わせ,冠状面脊柱アライメントを評価した.
方法:立位腰椎PA撮影をした155例のうち,腰椎のCobb角(コブ角)が3°以上の軽度の側弯変形を認めた60例を対象に,立位腰椎と臥位腰椎のコブ角を計測し,比較した.次に,貼り合わせた脊椎画像から,側弯変形をシングルカーブ(single curve: SC),ダブルカーブ(double curve: DC),トリプルカーブ(triple curve: TC)の3型のカーブパターンに分類し,冠状面の脊柱アライメントと立位腰椎コブ角との関連性を検討した.
結果:立位撮影の腰椎コブ角は6.5°で臥位撮影の3.0°に対し有意に高値だった.脊柱側弯変形3群と立位腰椎コブ角との関連性は,SCの3.8°に対しDCは6.9°,TCは9.2°で,腰椎コブ角の高値では有意に上位椎体の変形進展を認めた.
結論:立位荷重位撮影により,腰椎の側弯変形が有効的に評価できると考える.腰椎コブ角の増大,側弯進行は,上位椎体の側弯変形に大きく関与し,脊柱アライメントのバランス障害が示唆された.