健康医学
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20歳代治験志願健康成人での喫煙および飲酒習慣の臨床検査値への影響
新井 俊彦飯島 肇横山 錬蔵
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2002 年 17 巻 1 号 p. 39-43

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抄録
当院の臨床試験に応募した20歳代の男性健常ボランティアにアンケートして,喫煙量(一日の喫煙本数),喫煙指数(喫煙量×喫煙年数),飲酒量(一週間の飲酒),飲酒指数(飲酒量×飲酒年数)を調べた。ボランティアをそれぞれの程度によってグループ分けし,各グループの臨床検査項目の平均値±標準偏差値を比較した。また,喫煙量,喫煙指数,飲酒量,飲酒指数と各検査項目の検査値との相関係数を求めた。その結果,喫煙には,肥満抑制効果,肝機能障害効果および赤血球・白血球増加効果が示唆されたが,その効果は顕著なものではなく,変動も基準値内のものであった。また,これらの効果は喫煙指数より喫煙量に良く相関することで,喫煙の短期的作用によるものであることが示唆された。飲酒には顕著な肝機能障害効果が示唆された。これも短期的作用によるものであることが示唆された。
しかし,20歳代の健常ボランティアの殆どは検査値が基準値以内の健康者であり,喫煙,飲酒も健康状態に悪い影響を与えるには至っていないことが確認された。従って,検査値が基準値以内であれば喫煙,飲酒の問診をしなくても治験に組み込んで問題はないが,更に良い志願者を求めるなら,一日の喫煙量が二箱以上の者,毎日飲酒する者は避けることが望ましい事が判った。
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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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