健康医学
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鎮痙剤を使わないUGI(上部消化管透視)の読影―大弯側胃癌4例の経験―
小島 洋彦岩間 汪美廣瀬 光彦加藤 裕也加藤 正人苅谷 博史若林 貴夫
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2003 年 18 巻 3 号 p. 327-330

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抄録
人間ドックのUGI(上部消化管透視)では鎮痙剤を使わないことが多く,その読影には難しいところがある。我々は前年及びさらに溯って比較読影することで,より正確に診断でき,読影能力の向上に繋げている。特に胃大弯側の読影は蠕動と粗いレリーフの影響で読影には難しいところがある。代表として大弯側胃癌4例の経験を述べる。症例1はIIc,低分化型腺癌(スキルス)で,前年写真にも僅かな所見を認め,2年前の写真は異常なしである。症例2はBorrmannIII,低分化型腺癌で3年前より壁不整を認めたが,本人が納得せず胃カメラを受けなかった。症例3はC型慢性肝炎を伴う進行胃癌で,前年にも所見を指摘すべきであった。2年前は異常なしと判断する。症例4はIIc+III,中分化型腺癌で,前年には指摘するのは難しく,2年前は異常なかった。症例1,2,4は根治手術ができたが,症例3は人間ドック後に受診することなく死亡した。我々は人間ドックのUGIでは鎮痙剤を使用しない不利を縦断的に読影することで補うことができると考えている。
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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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