抄録
人間ドックを受診した未治療高血圧者を,飲酒習慣により非,軽度,中等度,多量飲酒群の4群に分け,飲酒量と血清脂質および高血圧性臓器障害との関係を検討した。年齢血圧,肥満度などは4群間に差はなく,血清総コレステロール値にも飲酒による影響は認められなかったが,HDL-コレステロールは軽度,中等度,多量飲酒群でそれぞれ同程度に上昇した。中等度以上の飲酒群では心電図上左室肥大所見の増加が観察された。眼底病変や尿蛋白,血清クレアチニンなどの指標には飲酒による影響は認められなかった。以上より,軽度の飲酒習慣は心肥大を促進することなく血清脂質を改善し,動脈硬化を基盤とする循環器系合併症の抑制に寄与し得るものと推測された。