人間ドック (Ningen Dock)
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老化指標としての皮膚弾力性パラメータの有用性
菅原 智子酒井 進吾井上 紳太郎高橋 英孝山門 實
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2005 年 20 巻 3 号 p. 483-487

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抄録

目的:加齢にともなうシワの形成には皮膚の弾力性低下が関与すると考えられており,皮膚弾力性の維持は抗老化につながる可能性がある.皮膚弾力性と紫外線や女性ホルモンとの関連は報告されているが,血液成分や生理機能との関連についての検討はほとんどない.本研究では,人間ドック受診時に皮膚粘弾性を測定し,年齢および各種検査項目との関連を調査した.方法:三井記念病院総合健診センターで人間ドックを受診し本研究の趣旨に同意した男性のうち高血圧,糖尿病,高脂血症および高尿酸血症で治療中の者を除外した62名を対象とした.cutometerにて前腕屈側部の皮膚粘弾性を測定し,各項目との相関解析および重回帰分析を行った.結果:年齢との単相関では,粘性指標(Uv/Ue)との相関は見られなかったが,弾力性指標(Ur/Uf),赤血球数,アルカリフォスファターゼ,肺活量1秒率と有意な負相関が,空腹時血糖,HbA1C,前立腺特異抗原と有意な正相関が認められた.これら7項目と年齢の重回帰分析ではUr/Ufの係数のみが有意であった.また,Ur/Ufと相関の見られた項目を説明変数として重回帰分析を行った結果,Ur/Ufに年齢以外にヘマトクリットならびに血色素量が寄与することが示された.結論:皮膚弾力性指標(Ur/Uf)は人間ドックで一般的に実施される検査項目に比べて年齢との関連が強く,老化指標として有用である.

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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