抄録
目的:厚生労働省の調査によると本邦のメタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MS)の頻度は予備群とを合わせると男性は2人に1人,女性は5人に1人である.しかし「予備群」のMS病態が判然としないため,インスリン抵抗性の面からMSと予備群の実態を検討した.方法:恵み野病院人間ドック受診者386名(男262,女124)を対象に,厚生労働省が行った調査での診断基準に従い,MS群,予備群,該当外群の3群に分類した.受診者はルーチン検査項目に加え,空腹時血中インスリン濃度(F-IRI)を測定し,Homeostasis modelassessment of insulin resistance(HOMA-R)を算出して,3群におけるインスリン抵抗性の実態を検討した.成績:男性はMS17%<予備群25%<該当外群58%で,3群のHOMA-R(平均値)は3.00>2.12>1.32,抵抗性増加例の出現率は48%>25%>12%であった.女性はMS群3%<予備群13%<該当外群84%で,3群のHOMA-R(平均値)は3.88>2.36>1.07,抵抗性増加例の出現率は75%>31%>10%であった.これらの事実からMSを引き起こすインスリン抵抗性の増加は予備群の段階で約30%の症例に発現しており,病態の進行に伴い抵抗性はさらに増強されていることを明らかにした.結論:インスリン抵抗性の増大はMS前段階の予備群から発現しており,MSへの進行に伴ってさらに増強される.MSの予防には予備群を含めてMS群を拾い上げ,インスリン抵抗性の改善に努めることが大切である.