抄録
目的:メタボリックシンドローム(MetS)におけるsubclinicalな動脈硬化の有所見率を高コレステール血症のそれと比較した.方法:MetSで血中総コレステロール値<220mg/dlの例(M group:男337名,女29名),MetSではないが総コレステロール値≧220mg/dlの例(C group:男235名,女473名)および総コレステロール値<220mg/dlでMetSのcompornentを全く有さない例(N group:男159名,女95名)について心電図と眼底の動脈硬化性変化の有無を比較した.更にC groupについては腹囲を除いたMetSのcompornentの併発数別に細分し比較した.結果:M groupの有所見率は女子の心電図所見を除いてC group,N groupのいずれよりも有意に高頻度であった.またC groupの有所見率は男女ともN groupと有意差を認めなかったが,MetSのcompornentの併発数が増えるに従って有所見率が増加し,high blood pressure,high blood glucose,dyslipidemiaのいずれをも併発した群では有所見率がM groupと同程度であった.結論:MetSでは高コレステロール血症に他の危険因子が多数併発した場合と同程度の動脈硬化を促進する作用があるものと思われる.