2009 年 23 巻 5 号 p. 1031-1035
目的:ブドウ糖負荷前後の尿中ミオイノシトール測定による,耐糖能異常の効率的・簡便な二次スクリーニング検査法の検討.方法:同意を得られた糖尿病外来・健診受診者915例を対象とし,WHO基準(1998年)に従い耐糖能の型分類を行った.正常型のうち糖負荷1時間後の血糖値が180mg/dl以上の者は準境界型とした.更に空腹時血糖値(FPG)により3群(99mg/dl以上,100~125mg/dl,126mg/dl以上)に分類し,糖負荷前後で採尿,旭化成ファーマ社のキットにて尿中ミオイノシトールを測定した.△UMIはクレアチニン補正した尿中ミオイノシトール濃度の負荷前後の差として計算し(後値-前値),△UM験査による一次健診後の耐糖能異常絞込みの可能性を検討した.成績:FPGが100~125mg/dlである群は915例中341例であり,耐糖能異常群(準境界型,IFG,IGT,糖尿病型)は204例であった.一方△UMIのカットオフ値を10mg/gCrとしたとき△UMI陽性者は179例(52%)であり,そのうち糖尿病型では40例中37例(93%)が△UMI陽性であった.結論:特定健診で採用されたFPG基準値100mg/dlを使用した場合には,陽性群に正常型が多く含まれる.真にブドウ糖負荷試験が必要な患者を絞り込む二次スクリーニング検査の手段として△UMIは有用と考えられた。