抄録
掃除作業の身体的負担の小さいクリーナ(電気掃除機)を開発した。従来のクリーナは、両手で操作されることが多かったが、片手で操れるものを目指した。開発の初期段階ではモニター実験、完成品に近い試作の段階ではモニター実験や生理量評価実験を実施した。後者のモニター実験では、多くの被験者が片手操作に移行するなど、動作や姿勢に変化が認められ、主観評価でも高く評価された。生理量評価では、複数の床と姿勢の条件で、筋電位(上腕二頭筋,三角筋前・後部,僧帽筋中・上部,脊柱起立筋左・右の7部位)と心拍を測定した。筋電位では、多くの条件で試作機使用時の筋電位の方が小さい傾向が見られ、このうち、有意水準1%でクリーナ間の差が見られたのは、片手で掃除をした場合の滑らかな床条件(上腕二頭筋,僧帽筋上)と7mmカット絨毯条件(僧帽筋上,脊柱起立筋右)であった。心拍では、有意な差が見られなかった。