人間生活工学
Online ISSN : 2434-6349
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夏季の通勤列車利用時の温湿度変動が温熱快適性に及ぼす影響
遠藤 広晴村越 暁子伊積 康彦内田 好徳林 伸明
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2014 年 15 巻 2 号 p. 39-49

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抄録

通勤列車利用時の温湿度変動が乗客の温熱快適性に及ぼす影響を明らかにするため,一般の鉄道利用者51名を対象とした温熱環境の被験者実験を実施した.実験では,留置された通勤用車両に被験者が乗車し,夏季の通勤列車利用時に想定されるランプ状,またはステップ状の温湿度変動を体感して温熱快適性の主観評価を行った.ランプ状の変動に関しては,SET*23℃~29℃の領域において,上昇時(0.1℃/min 以上),平坦時(±0.1℃/min 以内),下降時(-0.1℃/min 以下)の順に温熱環境に対する不満足率が高く,温熱快適性に変動性が影響することが示唆された.ステップ状の変動に関しては,定常環境滞在時と比較し,SET*23℃付近に近づく方向の下降変動の場合は不満足率が低く,SET*23℃から離れる方向の上昇変動の場合は同程度の不満足率となった.本実験結果とPPD とを比較したところ,不満足率が最小となるPMV に相違がみられ,夏季の通勤列車内の乗客の温熱快適性を予測・評価する際は,季節の影響も考慮する必要があることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人人間生活工学研究センター
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