忍者研究
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査読論文
徳島藩伊賀者の基礎的研究
井上 直哉
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2019 年 2019 巻 2 号 p. 1-13

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抄録
本稿は、近世大名家に召し抱えられた忍びの事例として、徳島藩蜂須賀家の伊賀者について取り上げる。まずその成立過程として、天正伊賀の乱で伊賀国を追われた後、浜松城主の堀尾家に鉄砲部隊として仕え、大坂の陣などに参加した。堀尾家が改易となると、その一部は高松藩の生駒家へと仕え、生駒家改易後、徳島藩蜂須賀家に仕えた。蜂須賀家では伊賀者を中心に「伊賀役」という役職が設けられ、藩主の参勤交代の道中警備や、城や家老宅での番を勤めた。寛延2 年(1749)には、姫路藩の百姓一揆について、現地で調査を行っている。伊賀者の家格は「徒士格」で家督相続 の許された身分であった。これは、同じく堀尾家伊賀者にも由来を持つ、岡山藩の伊賀者と同様である。他藩の忍びと比較すると、藩主の護衛や他国の探索といった、職務の共通点が見られる。その一方で、待遇は藩によって大きく異なり、徳島藩の同じ伊賀者の中でも大きな差が見られた。
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