NIRAモノグラフシリーズ
Online ISSN : 2758-2175
職業特性と高齢者特性
現役世代への意識調査から見えてくるもの
伊藤 由希子西山 裕也
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2016 年 40 巻 p. 1-68

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抄録
少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少する日本では、高齢者の就業促進が喫緊の課題となっている。しかしながら、現行の高齢者雇用安定施策は、社会福祉的な観点のものが中心であり、高齢者の適性を引き出すためのものにはなっていないのが問題だ。現在の高齢者は身体機能、知的能力の水準が上昇していると言われているが、現実には65歳を境目として就業構造が大きく変化する「壁」に直面している。このような状況を改善するためには、高齢者の特性と仕事に求められる特性の関係を正しく理解することが重要となる。このような問題意識のもと、NIRAでは、「職業の特性と就業の可能性に対するアンケート調査」を行った。本モノグラフは、当該アンケート調査の結果を整理するとともに、分析する過程で見えてきた高齢者の特性と仕事に求められる特性の関係に横たわる3つのミスマッチの存在を明らかにする。第1のミスマッチは、職務活動におけるミスマッチである。現在の高齢者の就業は得意よりも不得意な活動に偏っている傾向が見られた。第2のミスマッチは個性・人柄および職務環境におけるミスマッチである。シニアの人格や個性を生かせる場は限られており、高齢者が不得手とする職務環境に当てはまる職業ほど高齢者の就業が多いという実態がある。第3のミスマッチは経験と知識におけるミスマッチである。長年にわたり蓄積された経験や知識はシニアの優位性が発揮できる特性であるが、日本の職業ではこれらを重要視する見方は総じて低調である。これらのミスマッチが解消に向かえば、高齢人材の就業のあり方も変わり、シニアが社会を支えるための原動力となり得る。
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© 2016 公益財団法人NIRA総合研究開発機構
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