NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
社会保障改革しか道はない
今こそ、財政健全化への決意を示すとき
土居 丈朗鶴 光太郎井伊 雅子小塩 隆士西沢 和彦柳川 範之
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2015 年 13 巻 p. 1-4

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抄録

団塊世代が75歳に到達する2020年代初までという時間制約、異常な債務残高と堅実さに欠く政策対応、そして、将来的な金利上昇リスクの高まり。今こそ、財政規律を確立するための道筋を、2020年度の財政健全化目標の法定化という強い決意で示し、わが国の政府財政への信認を揺るぎないものとしなければならない。内閣府の試算では、かなり楽観的な名目成長率が続くとしても、2020年度には11.0兆円の基礎的財政収支の赤字が生じる。にもかかわらず、現時点で、黒字化目標を達成するための具体策を、政府は何も示していない。財政の現状をみると、社会保障支出はほぼ一貫して上昇し、高水準に達しているのに対して、非社会保障支出の対GDP比は、OECD諸国と比較して最低水準となっており、その削減余地は限られている。財政健全化のためには、社会保障における過剰な支出の削減や効率化への追求へと目を転じざるを得ない。削減のための具体的な方策を議論することが何よりも肝要である。その上で、中長期の国と地方の財政規律の確立のためには、社会保障の財源を消費税によって確保することで社会保障の受益と負担の均衡を目指すことが基本となる。

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