NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
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  • 2060年の家計の姿を描く
    楡井誠 , 宇南山卓 , 片桐満 , 小枝淳子
    2024 年 76 巻 p. 1-10
    発行日: 2024/03/28
    公開日: 2024/04/18
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    日本では経済の低成長が続く一方で高齢化により社会保障給付額は拡大し、政府債務の累増は日本経済の未来に不安を投げ掛けている。現実的な経済の見通しを置いた本稿の推計によれば、政府・日銀の政策が現状のまま維持される仮定した「ベースライン推計」では、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が継続するため、国・地方の純債務残高は発散する。このような状況に、世論は悲観に傾きがちであるが、本稿では、穏やかな金利環境を期待できれば、現実的な負担、そして経済成長につながる制度改革で十分に対応できることを示す。2060年時点でPBをゼロにするために毎年GDP比で0.12%の増税を想定すれば、純債務残高の対GDP比は184%で安定する。仮にこの税収増の分を全世帯が均等に負担した場合、 2060年度時点での負担増は勤労者世帯で月2万8千円、高齢者世帯で月2万円と推計される。今後考えうる財政リスクは、①PBの赤字が継続する可能性があること、②金利水準が成長率よりも低い状況が続くこと(これは財政改善につながる)、③金利が成長率を上回る可能性があること、である。③の例として、低金利とデフレの状況への後戻りやレア・イベントによる国債の格下げなどが考えうる。また、TFP成長率を0.5%上げることで、2060年時点での総債務残高の対GDP比率を19.3%下げることができる。
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