2020年、世界経済は未曾有のコロナ危機に見舞われた。日本の対応は、国際的に見ると比較的うまくいき死亡率も抑えたといえる側面もあるが、深刻な構造的課題が浮き彫りになったといわざるを得ない。国際比較の視点から見て、特に重要な課題は、医療提供体制の総合的な見直しと非常時対応の態勢整備、経済安全保障としてのワクチン開発の強化、接種に伴う様々な規制への機動的対応、データ分析や未来社会の構想に基づいた重点的・機動的な財政支出─などである。また、将来にわたって重要な政策対応は、コロナ禍に伴う公的債務の拡大と格差拡大への対応である。これらに対しては、格差拡大を縮小する方向での税制や財源の在り方などについて検討する必要がある。