新興国・途上国で情報端末が普及したことで、各国の経済社会は急速にデジタル化しつつある。現地の各国政府も新たな開発構想に着手し、外資企業への期待も大きく様変わりしつつある。この趨勢の中で、日本政府、日本企業はいかなる役割を果たし得るのか。本レポートでは、まず、2020年以降の新興国デジタル化の主な動きを整理したうえで、後半で「共創パートナーとしての日本」の役割に着目する。とりわけ経済面での関与のあり方として①開発構想への参画、②研究開発、③市場開拓、④現地企業への出資と戦略提携、⑤日本への還流-の5つのチャンネルを検討する。日本企業は新興国・途上国のスタートアップ企業への投資や現地でのビジネス創出の取り組みに着手している。特に介護や医療など「課題先進国としての日本」の側面が、デジタル化の時代にも生きてくる可能性が示唆される。しかし同時に、東南アジアやインドを事例として取り上げてみると、急速に拡大するニーズに対して、日本の取り組みが十分とは言えず、日本の存在感が低下する懸念もある。