抄録
本邦6大学皮膚科教室(東北大,東京大,横浜市立大,金沢大,京都大,九州大)において実施された治験成績をまとめ報告した。有効率は,Pimafucin軟膏使用の27例において70.4%,偽薬使用の29例において27.0%であつた。悪化例は,偽薬使用例においてのみ認められ,その頻度は29例中9例(31.0%)であつた。Pimafucin軟膏による副作用発生は1例も認められなかつた。これらの成績から,Pimafucin軟膏が皮膚カンジダ症に対して明らかに有効であり,実用に供しうるものであるといえる。二重盲検法による治験において,真薬の有効率が偽薬の有効率よりも著明に高く示されたもの(指間びらん症,間擦疹)と,両者の有効率にいちじるしい差が認められなかつたもの(有効率がともに低い—爪囲炎,有効率がともに高い—乳児寄生菌性紅斑)とを認めた。皮膚カンジダ症における外用抗真菌剤の治験は,その対象として指間びらん症がもつとも適したものであると推論した。