抄録
血族結婚の認められない1家系に10例の本病を認めた。そのうち直接観察しえた親子4例について報告する。症例(1)は,36才の主婦,症例(2)(3)(4)の母親で,父,叔父,兄弟2人および姪,甥にも同症を認める。小学校入学頃より頸腋窩,側胸部,腰部に黒褐色の色素沈着,皮野の粗大,乳嘴状増錐を認め,思春期を頂点に妊娠時の一時的増悪期を除き現在では褪色傾向を示す。肥満はなく,トルコ鞍正常,ACTH-Z test,Metopirone testでやや低値を示す。染色体に異常はない。症例(2)(3)(4)は生下時には異常はなく,1才頃より母親同様の皮膚を認めるが,年少者ほど軽度である。なお,症例2は,13才男,I.Q.66で知能低下が認められる。