西日本皮膚科
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症例
広範囲熱傷の治療経験
大山 勝郎小野 友道勝屋 弘忠
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1975 年 37 巻 5 号 p. 763-769

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抄録

患児は2才6ヵ月の女児, 昭和48年12月1日, 誤まつて沸き上つた浴槽に転落した。II~III度, 受傷面積94%で当科へ緊急入院した。ただちにICUと協同で治療に当り, 型のごとく補液, 抗生剤, 経管栄養などを行ない, 局所にゲンタマイシン軟膏を主とする外用療法を施した。その後, 緑膿菌感染が著明で上皮形成が見られず, 高熱が続くので, 37病日に34人の健康成人より採皮し, 同様植皮を行なつた。その結果, 上皮形成がかなり捉進され, 緑膿菌感染も改善された。しかし高熱と一般状態不良のため, 4ヵ月後2回目の同種植皮を行なつたが1回目ほどの効果はなかつた。薬浴療法も供用し, 緑膿菌, カンジダ感染症にたいしクレゾール浴, ポリミキシンB浴, アンホテリシンB浴を行ない奏効した。これら薬剤による副作用は見られなかつた。またこの間12回にわたり自家植皮を行ない, 受傷後7ヵ月で上皮が完成し, 入院後8ヵ月で軽度の瘢痕拘縮があるが元気に歩行退院した。

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© 1975 日本皮膚科学会西部支部
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