臨床的に紅皮症と診断した11症例に抗プラスミン剤のひとつであるtranexamic acid, 1日6カプセル内服療法を行なつた。療法の結果は著効1例, 有効2例, 無効8例であつた。紅皮症と線溶系酵素の関連性, 紅皮症にたいするtranexamic acidの作用機序について解明すべく, リジンセファローズアフィニティークロマトグラフィー法により患者血中の線溶系酵素およびインヒビターをおのおの測定した。結果は抗プラスミン療法の著効した1例においてのみ, 紅皮症状態においてプラスミノーゲン, 即時型アンチプラスミン低値をみたものの, 他の全症例, 全経過を通じて異常値をみとめなかつた。Tranexamic acidの各種蛋白分画酵素にたいするインヒビターとしての性質より, 紅皮症の発現機序について考察した。