西日本皮膚科
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症例
自然消退した巨大単発性Juvenile Xanthogranuloma
—症例報告と本邦単発例の検討—
沼田 恒実稲田 修一
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ジャーナル 認証あり

1979 年 41 巻 2 号 p. 258-263

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抄録

Juvenile xanthogranuloma(JXG)の単発例を報告し, 文献的に集計した本邦における本症単発例36例について多発例との比較を中心に検討した。症例は2ヵ月男子で生下時より右下口唇から右顎下部にかけて, 2.0×4.5cm大の扁平でやや隆起し, 表面平滑な黄紅色腫瘤が存在した。初診までの2ヵ月間にとくに変化なく, 当科にて生検を施行した。組織所見は真皮中層から下層にかけて組織球, 線維芽細胞を主体とし, 一部に好酸球や異物型巨細胞を混じる密な細胞浸潤がみられた。検査成績, 家族歴に異常なく, 病理組織学的所見などよりJXGと診断した。なお, 皮疹は生検施行後約15ヵ月の経過にて自然消退した。本邦単発例は多発例に比較し発症年令がやや高く女子例でその傾向が著明な点, 皮疹がやや大である点, 合併症が少ない点など若干の相違はみられたが, 発症などに関して単発例と多発例の間に本質的な差は見い出せなかつた。

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© 1979 日本皮膚科学会西部支部
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