西日本皮膚科
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症例
悪性血管内皮細胞腫の1例
柳沢 一明野見山 朋彦江口 一彦中山 管一郎末永 義則
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1982 年 44 巻 5 号 p. 780-789

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抄録

67才男子の右前頭部に生じた悪性血管内皮細胞腫の1例を報告した。組織学的には, 真皮全層に分化の程度を異にする腫瘍細胞の増殖があり, 好銀線維がこれらを取り囲み, 管腔様構造を形成していた。組織化学的には, 腫瘍細胞はalkaline phosphatase染色で大多数が, α-naphthylacetate esterase染色, acid phosphatase染色, β-glucuronidase染色で一部が陽性を示した。電顕的には, 腫瘍細胞の大部分が集塊をなし, ところにより管腔形成がみられた。個々の細胞は1層の基底膜で囲まれ, 細胞内器官がよく発達し, 多くの細胞にWeibel Palade顆粒を認めた。あわせて, 1967年から1981年までに本邦皮膚科領域で報告された血管肉腫63例(悪性血管周囲細胞腫, 悪性リンパ管内皮細胞腫, Kaposi肉腫は除く)について統計的考察を行つた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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