西日本皮膚科
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症例
遺伝性汎発性色素異常症
西嶋 摂子二村 省三朝田 康夫
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1982 年 44 巻 6 号 p. 945-948

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抄録
27才女子。幼小児期より腰背部にはじまり, 両前腕, 両下腿におよぶ対側性の色素異常を認めていた。皮疹は次第に両上腕, 両大腿にも拡大してきたが, 両手背手掌, 両足背足蹠には全く出現していない。臨床検査所見に異常はみられず, 組織学的には色素脱失部では基底層のメラニン色素の減少が認められ, 色素増強部では基底層のメラニン色素の増加と, 一部に軽度の液状変性, 表皮内および基底層直下に少数の個別角化細胞がみられ, 真皮には多数のメラノファージが認められた。PAS染色, Congo red染色ともに陽性物質の沈着はいずれの部位にも認められなかつた。自験例を脱色素斑を主訴とする遺伝性汎発性色素異常症と考えた。皮疹の分布は遺伝性対側性色素異常症とは異なつており, 汎発性色素異常症は単に対側性色素異常症の皮疹が拡大しただけのものとは考え難く, 独立した色素異常症の1つと考えられた。
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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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