1985 年 47 巻 3 号 p. 515-519
昭和52年から57年の6年間に関西医科大学皮膚科において皮膚感染病巣より分離された一般細菌638株につき統計的に観察を行つた。最も多く分離されたのは黄色ブドウ球菌であり, ついで表皮ブドウ球菌, グラム陰性桿菌の順であつた。この6年間に分離された菌種に大きな変遷はみられなかつた。黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌については抗生物質感受性, 単独分離か複数分離かについても検討した。黄色ブドウ球菌は単独で分離されることが多く, 表皮ブドウ球菌は混合感染病巣から分離されることが多かつたが, 最近単独で分離される率の増加がみられた。PCG, EM, OL, CLDM, KM, ABPCに対する黄色ブドウ球菌の薬剤感受性は, この6年間に徐々に低下し, ほとんど50%以下と低値を示すに至つた。それに比して表皮ブドウ球菌ではPCG, KM以外はあまり大きな変化は認められなかつた。