西日本皮膚科
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研究
皮膚糸状菌検出用培地スラントN(日研)の色調とpHの変化
桐生 博愛江口 一彦末永 義則
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1986 年 48 巻 2 号 p. 294-299

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抄録

1) スラントN培地の赤変は, 菌種によらず, 培地のpHが6.0∼6.1以上に上昇したときに生じた。
2) 赤変日数の差は皮膚糸状菌をAspergillus flavus, Alternaria alternataなどの雑菌と区別する方法として有用であると思われた。
3) スラントNにおける培地pHの上昇パターンは, 急速にpHが上昇するTrichophyton mentagrophytes型, 緩やかなpH上昇を示すT. rubrum型, いつたんpH低下を示したあとpH上昇が起るAspergillus flavus型の3型にわけることができた。
4) pH上昇の原因は, ペプトンの分解によるアルカリ性物質のためと考えられ, Aspergillus flavusにおける初期のpH低下は, ブドウ糖分解による酸性物質の産出がペプトンの分解に先行する結果と考えられた。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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