西日本皮膚科
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研究
当教室における汎発性鞏皮症の自己抗体の検討
野上 玲子前川 嘉洋
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1986 年 48 巻 6 号 p. 1082-1087

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抄録

昭和51年∼60年に観察した11例について臨床症状および自己抗体(とくに抗Scl-70抗体, 抗セントロメア抗体)を検索した。抗Scl-70抗体陽性群(11例中7例)では, リウマチ因子, 抗DNA抗体などの自己抗体の共存がみられた。厚生省強皮症調査研究班のscore値を用いて重症度との関連をみたところ, 平均値では陽性, 陰性群間に有意差がなかつたが, 抗Scl-70抗体陽性群中にscore 6の症例および経時的にscore値の増加をみる例があるほか, 舌小帯短縮が多く認められた。抗セントロメア抗体陽性例は典型的CREST症候群の所見を呈し, 抗Scl-70抗体などの自己抗体は陰性であつた。以上よりこれらの自己抗体の検索は今後の経過観察上有用な指標と考える。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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