西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
慢性期持久性隆起性紅斑
 
左野 喜實三原 基之島雄 周平中久喜 茂也
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 50 巻 4 号 p. 611-614

詳細
抄録

39才女子, 職業: トランスの組立作業。約2年前より両手の全指に紅斑が出現し, しだいに硬くなつてきた。ときに軽度のそう痒感があつたほかは自覚症状はなかつた。近医にて処方されたステロイド外用剤を塗布するも症状の改善がみられなかつた。初診時, 両手の全指の指節間関節伸側部に弾性硬の隆起性紅斑を認めた。血液検査, 生化学検査では異常を認めなかつた。皮膚生検の病理組織像では表皮に角質肥厚, 表皮肥厚, 表皮内多核白血球浸潤, 真皮全層にわたる膠原線維の増生と真皮上∼中層の血管周囲性リンパ球浸潤がみられたが, 好中球破壊性血管炎の所見はみられなかつた。特徴的な臨床像と真皮の膠原線維の増生所見より慢性期の持久性隆起性紅斑を強く疑い, DDS(1日75mg)の投与を開始した。その2ヵ月後より皮疹の軽快がみられはじめ, 8ヵ月間DDSを継続投与した現在, 皮疹の著明な改善をみたので最終的にEEDと診断した。慢性期のEEDでは特徴的な臨床像にもかかわらず, 時期によつて, あるいは部位によつては本例のように組織学的に明らかな血管炎の像を認めないこともあると考えられた。

著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top