西日本皮膚科
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症例
帝王切開後に生じた腹部の広範囲潰瘍
 
武 信昭末永 義則渕 曠二
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1988 年 50 巻 4 号 p. 621-625

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抄録

30才女子。帝王切開手術創が発赤腫脹し, 種々の治療に抵抗し腹部全面におよぶ潰瘍を形成して当科を紹介され受診した。初診時, 正中部を除く腹部全体に境界明瞭な浅い潰瘍が認められ, 脂肪織が露出し多量の浸出液がみられた。潰瘍辺縁部には汚い壊死物質が付着し, 創周囲に発赤腫脹が認められた。入院中に嫌気性菌を含めた細菌培養を数回施行するも細菌は検出されず, 生検標本にも真菌, 細菌は検出されなかつた。前医の組織標本には多数の好中球浸潤と, 大型のグラム陽性桿菌が認められたことから, 原因菌は同定できなかつたが細菌性壊疽と診断した。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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