西日本皮膚科
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治療
慢性蕁麻疹に対するE-0659の臨床評価
—Ketotifenを対照薬とした多施設二重盲検比較試験—
E-0659皮膚科研究会
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1989 年 51 巻 3 号 p. 492-510

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抄録

慢性蕁麻疹を対象としてE-0659(塩酸アゼラスチン)1日2mgおよび4mgの有効性, 安全性ならびに有用性をketotifenを対照薬とする二重盲検群間比較試験により比較検討し, 以下の成績を得た。
1) 回収総症例187例のうち, 世話人会採用例では, 最終全般改善度および有用度については171例(E-0659 1日4mg投与群: 以下A4群と記す—59例, E-0659 1日2mg投与群: A2群—54例, ketotifen 1日2mg投与群: K群—58例), 概括安全度については178例(A4群61例, A2群56例, K群61例)を解析対象とした。コントローラー採用例では, 182例(A4群61例, A2群59例, K群62例)を解析対象とした。
2) A4群はコントローラー採用例で67.2%, 世話人会採用例で69.5%, A2群はコントローラー採用例で59.3%, 世話人会採用例で64.8%の有用率(有用以上)を示した。
3) 最終全般改善度, 概括安全度, 有用度は世話人会採用例およびコントローラー採用例においてA4群, A2群, K群の間にいずれも有意差を認めなかつた。なお, 最終全般改善度ではコントローラー採用例で, A4群がA2群にまたA4群がK群に優る傾向(χ2検定, 軽度改善以上P<0.10)を認め, 世話人会採用例で, A4群がA2群に優る傾向(χ2検定, 軽度改善以上P<0.10)を認めた。また有用度に関しては, コントローラー採用例, 世話人会採用例のいずれにおいてもA4群がK群に優る傾向(χ2検定, やや有用以上P<0.10)を認めた。
4) 副作用は各群とも眠気が主であり, とくに重篤なものは認められなかつた。臨床検査成績においても, とくに問題とすべき異常は認められなかつた。
5) 本試験の結果から, E-0659は慢性蕁麻疹に対して高い有効性, 安全性を持ち, 1日4mgの投与は1日2mg投与に比し, より有用である可能性が示唆された。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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