西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
凍結乾燥豚真皮(KT-103)の難治性皮膚潰瘍に対する効果
—多施設一般臨床試験の成績—
KT-103(皮膚潰瘍)研究班
著者情報
ジャーナル 認証あり

1989 年 51 巻 3 号 p. 543-549

詳細
抄録

凍結乾燥豚真皮(KT-103)の難治性潰瘍に対する有効性ならびに安全性について検討するため14大学の皮膚科学教室が参加した多施設一般臨床試験を行つた。53例の難治性皮膚潰瘍の内訳は, 血行障害性潰瘍9例, 熱傷性皮膚潰瘍7例, 糖尿病性壊疽6例, 外傷·機械性皮膚潰瘍6例, 免疫·アレルギー性皮膚潰瘍15例, 褥瘡3例, その他の皮膚潰瘍7例であつた。効果判定可能症例数50例, 51潰瘍についての潰瘍面積縮小率は71.5%であつた。壊死変性物に対する改善率は82.2%であり, 良好な肉芽形成が85.7%に認められた。また疼痛を伴つた潰瘍のうち82.4%において疼痛の消失を認めた。細菌の二次感染を認めた12例中4例は感染が持続したが, 8例は陰性化した。8週間までの全般改善度は, 治癒60.8%, 著明改善以上76.5%であつた。副作用は5.9%に認められた。その内訳はそう痒感1例, 接触皮膚炎2例であつた。有用性の評価は, きわめて有用52.9%で有用以上の有用率は76.5%であつた。基礎疾患群別有用率では褥瘡(100%), 血行障害性皮膚潰瘍(87.5%)が高い有用以上の有用率を示したのに対し, 糖尿病性壊疽(66.7%)は他の疾患群に比較してやや有用度が劣つた。以上の結果より, 本剤は早期の良好肉芽形成を促進し, 幅広く各種原因による難治性皮膚潰瘍に高い有用性を示すことが明らかとなつた。

著者関連情報
© 1989 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top