西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対するカネボウ柴苓湯の臨床的有用性の検討
山田 秀和辻井 陽子山上 七寿子荒金 兆典佐伯 光義原田 正吉田 正己手塚 正
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1990 年 52 巻 6 号 p. 1202-1207

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抄録

アトピー性皮膚炎は皮膚科外来でしばしば遭遇する疾患であるが, 西洋医学的治療では満足できる効果が得られていないのが現状である。このような背景から当院皮膚科においても漢方薬と西洋医学的治療法との併用に注目して実施している。今回, われわれは, 小柴胡湯と五苓散料との合剤である柴苓湯に注目し, 西洋医学的治療法との併用を試みた。対象は, 当院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者18例に対し柴苓湯エキス細粒(カネボウ薬品)を原則として4週間以上, 可能な症例については8週間の連続投与とした。併用薬剤は抗アレルギー剤, ステロイド内服剤は除き, その他の併用療法は可とした。その結果, そう痒, 潮紅, 丘疹, 肥厚·苔癬化, 掻破痕について有意な改善が認められた。一方ステロイド外用剤の減量が16例中7例に, さらに内5例で離脱が可能であつた。また, 内服剤については, 10例に抗ヒスタミン剤の併用が行われていたが, 内5例は投与中止可能であつた。このことからアトピー性皮膚炎の治療法の一つとして柴苓湯の有用性が示唆された。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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