西日本皮膚科
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症例
慢性関節リウマチと診断されていたMCTDの2例
佐藤 伸一五十嵐 敦之竹原 和彦尹 浩信原田 栄下妻 道郎紫芝 敬子
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1993 年 55 巻 2 号 p. 243-247

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抄録

抗nRNP抗体陽性の膠原病例は混合性結合組織病(MCTD)を含む多様な病態および経過をとることが知られている。今回われわれは慢性関節リウマチ(RA)と診断されていたMCTDの2例を報告した。症例1は関節痛で初発し, RA因子陽性のためRAと診断されたが, 手指の変形を伴わない関節痛が長期に持続していたため, 抗核抗体を測定したところ抗nRNP抗体陽性と判明した。手指には軽度腫脹がみられ, 胸部X線上肺線維症が認められた。プレドニン®10mg/日内服にて関節痛は著明に軽減した。症例2も関節痛で初発し, RA因子陽性のためRAと診断されたが, レイノー現象が出現してきたため抗核抗体を測定したところ, 抗nRNP抗体陽性と判明した。手指には軽度腫脹がみられたが, 内臓病変の合併は認められなかった。両者ともRAをはじめとする古典的膠原病の診断基準のいずれをも満たさず, 症例1はMCTD, 症例2はMCTD不全型と診断した。抗nRNP抗体陽性52例の初発症状を解析したところ, 関節痛で初発するものが19.2%を占めた。したがって, 抗nRNP抗体陽性例において, 関節炎で初発しRA因子が陽性である場合, 発病初期にはRAと診断される危険性があると考えられた。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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