西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
組織学的に著明な弾性線維の変性とElastophagocytosisを認めた第2期梅毒疹
小宅 慎一大井 綱郎古賀 道之芹澤 博美
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 2 号 p. 255-258

詳細
抄録

40歳の男性。平成元年1月に梅毒感染の機会があった。同年8月頃に左前腕に紅色の皮疹が出現し, その後両上肢, 躯幹に拡大した。皮疹出現時より全身倦怠感あり。放置していたが症状が軽快しないため10月31日当科初診。両上肢, 躯幹に紅色で小豆大∼示指頭大の扁平隆起性丘疹が多発していた。血液生化学検査で肝機能障害を認めた。血沈の亢進も認めた。病理組織学的には弾性線維の変性とそれを多核巨細胞が貪食する像(elastophagocytosis)を認めた。臨床症状より梅毒が疑われたため梅毒抗体価を測定したところTPHA法10240倍, ガラス板法512倍であった。梅毒抗体価の上昇, 臨床症状より第2期梅毒と診断した。サワシリン®(amoxicillin)1500mg/day投与により皮疹, 肝障害は改善し, その後症状の再燃はない。梅毒の際には多彩な組織所見を呈することが知られているが自験例のようにelastophagocytosisを認めたとの報告は調べ得た限りなくきわめて稀と思われた。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top