西日本皮膚科
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治療
テルフェナジンのアレルギー性皮膚疾患への臨床評価
—Eosinophil Cationic Protein(ECP)値との関連性を中心にして—
沼田 時男奥田 佳子植松 茂生高木 茂小路 雅人横田 径子酒井 良憲
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ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 6 号 p. 1038-1044

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抄録

アトピー性皮膚炎30例および慢性蕁麻疹23例に対するテルフェナジン(トリルダン®)の有効性および安全性を末梢血好酸球中の脱顆粒蛋白ECP(eosinophil cationic protein)への影響とともに5施設で検討した。自·他覚症状の観察結果に基づいた臨床症状評価は両疾患とも5段階に分けて行ったが, 紅斑および膨疹は2週後に1段階以上改善し4週後まで維持された。そう痒は2週後で1.5段階以上改善し4週後にはさらに改善度を増した。ECP値に対する影響はアトピー性皮膚炎では2週後に減少傾向(p=0.066)が認められたが4週後には減少傾向も認められなかった。慢性蕁麻疹ではどの週においても有意な影響は認められなかった。副作用は安全性評価症例51例中, 頭痛, 頭重感および眠気が各1例ずつ認められたがすべて軽度で, 眠気は服用1日目にみられたが継続服用しているうちに軽快した。臨床検査値の異常変動は3例にみられたが, いずれも軽度で薬剤に起因するものはないと判断された。以上からテルフェナジンはアレルギー性皮膚疾患に対して止痒効果が強く有用な抗アレルギー剤であることが示唆された。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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