西日本皮膚科
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症例
修正大血管転位症, HCV感染を合併し顔面にまで紫斑を生じた皮膚アレルギー性血管炎
沢田 泰之副島 清美山本 俊幸横関 博雄西岡 清片山 一朗
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1997 年 59 巻 5 号 p. 678-682

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抄録

51歳の男性。初診6日前に咽頭痛出現, 3日前に四肢, 躯幹に紫斑が生じ, 顔面にも拡大したため, 東京医科歯科大学皮膚科受診となった。既往歴では47歳時に修正大血管転位症, 肺動脈狭窄症, 僧帽弁三尖弁閉鎖不全症に対する弁置換術およびHCV感染症あり。初診時に下腿, 前腕に血疱, 潰瘍を形成する鳩卵大までの紫斑が播種状に認められ, 顔面, 躯幹にも粟粒大の紫斑が多数認められた。紫斑部の組織像では真皮上層から下層まで広汎な細小血管にleukocytoclastic vasculitisが認められた。扁桃マッサージ試験により紫斑の新生が認められたため, 扁桃腺炎に由来する皮膚アレルギー性血管炎と診断し, 種々の抗生物質を使用したが, 4年後の現在も紫斑は持続し, 腎機能障害は進行中である。顔面に紫斑が生じた要因は皮膚アレルギー性血管炎の病勢と心疾患による顔面の静脈圧の上昇と考えたが, HCV感染症による紫斑の分布域の拡大も否定できなかった。文献的考察では下肢以外に紫斑が認められた例で統計学的に有意に腎障害発生が多かった。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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