1997 年 59 巻 5 号 p. 688-691
40歳の女性の左側頭部に生じたerosive pustular dermatosis of the scalpの1例を報告した。既往歴に18歳のころ頭部外傷を受け, 20歳で大きな瘢痕性脱毛となり治癒したという。初診の約1年前に瘢痕性脱毛の辺縁から糜爛, 膿疱が出現し徐々に拡大していった。初診時は左側頭部全体に潮紅が認められ, 膿疱, 糜爛が多発していた。病理組織学的には真皮の小円形細胞浸潤を伴う非特異的慢性炎症の所見が認められた。治療は抗生剤内服, 外用, ステロイド内服, 抗真菌剤内服は無効であり, ステロイド外用が著効を示した。