西日本皮膚科
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研究
多形日光疹およびその誘発皮疹の免疫組織化学的検討
 
渡邊 泰弘秋山 酉森本 浩吉木村 瑞穂比留間 政太郎石橋 明川田 暁
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1998 年 60 巻 4 号 p. 510-513

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抄録

光線テストにより多形日光疹と診断した4例について, 原発疹と誘発疹を病理組織学的および免疫組織化学的に検討した。全例ともUVBの最少紅斑量(minimal erythema dose: MED)は正常で, UVAに対する異常反応は認められなかった。UVBの2MED量の反復照射により皮疹が誘発された。真皮血管周囲のリンパ球の稠密な浸潤は全例の原発疹と誘発疹に, 表皮基底層の液状変性は原発疹の全例と誘発疹の4例中3例にみられた。また一部の症例では海綿状態もみられた。原発疹, 誘発疹とも真皮の浸潤細胞はほとんどがT細胞で, いずれにおいてもCD4+細胞がCD8+細胞に対して優位であった。HLA-DR+細胞は真皮内に多数認められたが, Langerhans cellは真皮内に少数みられた。ICAM-1は原発疹, 誘発疹とも約半数で血管内皮細胞に陽性であった。一部の症例では, 表皮細胞の一部にもICAM-1が陽性であった。以上の病理·免疫組織化学所見から, 本症の本態が遅延型過敏反応であることが示唆された。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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