西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
多数の小水疱および小膿疱を伴った小児急性皮膚粘膜リンプ節症候群(川崎病)
並木 剛小森 一哉松永 剛
著者情報
ジャーナル 認証あり

1998 年 60 巻 5 号 p. 613-615

詳細
抄録

7歳の女児。土浦協同病院皮膚科初診の1週間前から38℃台までの発熱を生じ躯幹四肢のそう痒を伴う紅斑, 口唇の発赤腫脹, 両手指足趾の発赤腫脹を生じた。病理組織学的には表皮内に膿疱があり, 多数の多核白血球を入れるいわゆる海綿状膿疱の像が認められた。心電図, 心エコー上はとくに異常なく, 冠状動脈病変の合併は否定的であった。γ-グロブリン, アスピリンの投与で発熱, 皮疹ともに約10日間で消退した。1ヵ月後には両手指の落屑を残すのみとなった。川崎病の予後を決める上で冠状動脈病変の有無は重要であり, その予測のためのスコア表が作成されているが, 小膿疱合併例と非合併例のスコアを比較した場合, 合併例は非合併例に比べスコアが低く軽症例が多い傾向にあるという結果が得られた。すなわち川崎病の小膿疱合併例では冠状動脈病変が合併する確率が低いと考えられた。

著者関連情報
© 1998 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top