西日本皮膚科
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症例
急性リンパ性白血病(ALL)に合併したClass II Histiocytosis(多発性成人型黄色肉芽腫)
本多 芳英大井 綱郎古賀 道之
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1998 年 60 巻 6 号 p. 757-760

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抄録

症例は17歳の女性。1989年11月急性リンパ性白血病(ALL)と診断され治療を開始した。寛解導入に至りAdVEMP療法による地固め療法をしていたところ, 1990年1月から顔面に黄色調の丘疹が出現し, 漸次全身に拡大してきた。初診時に顔面, 躯幹, 上腕, 大腿に黄褐色調の丘疹や結節が多発し, 個疹の融合傾向はなく間擦部には少なかった。病理組織学的には, 表皮直下から真皮中層にかけて組織球, 泡沫細胞を主体とする稠密な細胞浸潤がみられ, Touton型巨細胞も混在していた。浸潤細胞は, ズダンIV染色, リゾチームが陽性, PAS染色, 鉄染色, NCA, S-100蛋白は陰性であった。また, 電子顕微鏡的にLangerhans cell granuleは認められなかった。以上の所見から多発性成人型黄色肉芽腫と診断した。ALLに合併した黄色肉芽腫の報告は本邦では自験例を含め3例あり, その黄色肉芽腫は全てALLの寛解期中に生じていた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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