西日本皮膚科
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症例
同時性三重複癌
—多発Bowen病, 喉頭癌, 甲状腺癌—
松島 弘典坂井 靖夫籏持 淳永山 博敏新海 浤真鍋 俊明
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1999 年 61 巻 1 号 p. 48-51

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抄録

多発Bowen病, 喉頭癌, 甲状腺癌をほぼ同時期に生じた82歳男性の1例を報告した。初診の約2年前より右アキレス部, 両側手指背·足背に多発性の紅色から褐色調局面に, 約4ヵ月前より左下腿後面に潰瘍を伴う腫瘤に気づいた。病理組織学的に局面は, 表皮内に増殖する腫瘍細胞が配列の乱れを呈しBowen病と診断した。腫瘤は, 淡好酸性から透明な細胞質を有する腫瘍細胞が増殖し, 個細胞角化や細胞間橋を散見するclear cell typeの皮膚有棘細胞癌であった。また2年前には喉頭癌(高分化型扁平上皮癌), 甲状腺癌(乳頭状癌)の摘出術を受けている。左下腿の皮膚有棘細胞癌は皮膚原発性と考えられたが, 喉頭癌の皮膚転移も完全には否定できなかったため, 本患者には少なくとも三重複癌があると考えられた。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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