2000 年 62 巻 1 号 p. 40-43
63歳の男性。頭部の多発性難治性潰瘍を主訴に受診。頭部の生検組織では診断に至る特異的な所見は得られず,一般的な潰瘍治療を行うが難治であった。経過中,手背に水疱の出現を繰り返し,尿中ウロポルフィリン,コプロポルフィリンの増加を認めた。この臨床像,組織所見及び検査所見より晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,頭部の多発性潰瘍も同症の修飾された一症状であると結論付けた。治癒が遷延した要因として,不適切な治療による細菌の二次感染に加え,本症に特有の皮膚の脆弱性が基盤にあるものと考えられた。