2000 年 62 巻 5 号 p. 606-609
73歳,女性。初診の約30年前にたき火をしていて腰臀部から両大腿部に熱傷を負い,瘢痕上皮化した。約10年前から両大腿部の瘢痕に潰瘍が生じ次第に拡大してきたが放置していた。初診時左大腿部に35×15 cmおよび右大腿部に15×10 cmの易出血性潰瘍局面を認め熱傷瘢痕癌(SCC)と診断した。また,意識障害を伴う高Ca血症がみられ血清PTHrP(副甲状腺関連蛋白, parathyroid hormone related peptide)も高値を示した。加えて,白血球増多も認められたが,術後高Ca血症と共に改善した。本邦の皮膚科領域での高Ca血症を伴ったSCCの報告は少なく,文献的に考察を加えた。