西日本皮膚科
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症例
“Black Dot” Ringwormの1例
—短期内服療法の可能性について—
陳 文雅分山 英子西本 勝太郎
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ジャーナル 認証あり

2000 年 62 巻 5 号 p. 629-631

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抄録

2歳の男児。約2週間前より頭部を掻破しているのに家族が気づき,当科受診。初診時後頭部に直径2.5cmの不完全脱毛斑1個を認め,脱毛斑の中に多数のblack dotを認めた。脱毛のKOH直接鏡検で毛内性大胞子性寄生の像を認め,サブロー·ブドウ糖平板培地上では4週間で直径1.5cmと発育の遅い,帯灰黄褐色の蝋様のコロニーとなる真菌を得た、スライドカルチャーでは屈曲し,不規則に分岐する菌糸と介在性及び末端性厚膜胞子を認め,Trichophyton glabrumと同定。塩酸テルビナフィン30mg/日で治療開始したが,3週間目以降患者が来院せず治療中止した。治療中止後74日目の来院時,病変部は軽度の粃糠様鱗屑を認めるのみ,KOH鏡検で少量の円形胞子を認めたが,ブラッシングによる培養は陰性。塩酸テルビナフィンは角層に対する親和性が高く,高い殺真菌作用をもつため,グリセオフルビンよりも短い治療期間での有効性が期待され,自験例も含めての症例の蓄積が求められる。自験例も現在経過観察中であり,今後も臨床経過を観察する予定である。

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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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