抄録
65歳,女性。高齢発症の多彩な臨床像を示した原発性Sjögren症候群の1例を報告した。顔面と手掌の滲出性紅斑の臨床所見からはSjögren症候群とSLEの区別は困難であった。背部の掻破痕を伴う浮腫性紅斑および筋生検所見からは皮膚筋炎を疑った。各症候はプレドニゾロン30mg/日の内服治療で速やかに消退し,5mg/日の投与で寛解を維持しており,原発性Sjögren症候群と診断した。傾眠,見当識障害を示したが,これも原発性Sjögren症候群の症状と判断した。原発性Sjögren症候群においても,重複症候とは限らず,SLEや皮膚筋炎の症候を示しうることを報告した。