2002 年 64 巻 3 号 p. 344-350
茨城県水戸市内中核病院における黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)感染症の現状を把握するために,2000年1月~12月の1年間に分離された黄ブ菌について統計学的に検討した。1患者1株としてカウントすると,黄ブ菌は全体で728株培養され,259株(35.6%)はMRSAであった。その内皮膚科は72株(27.8%),内科67株(25.9%),脳外科41株(15.8%)が検出され,当科はMRSAの科別分離数で第1位であった。また,各薬剤のMRSAによる感受性率は,診療科により大きな相違がみられ, GMは内科,脳外科,外科で60%以上,MINOは皮膚科,整形外科,外科で70%以上,LVFX, OFLX, CLDMは皮膚科でのみ50%以上を示した。次に,同年7月~9月に皮膚科外来より分離された黄ブ菌102株を検討した。疾患別には伝染性膿痂疹が68株と圧倒的に多く,MRSA分離率は32.4%であった。伝染性膿痂疹におけるGM, CAM, MINOの感受性率は, MSSAにおいては各々30.4%,37%,100%に対して,MRSAでは各々4.5%,9.1%,95.5%であった。また,MRSA 12株についてco-trimoxazoleの感受性を調べたところ,100%の感受性率を示した。