2002 年 64 巻 6 号 p. 713-717
26歳の男性。約半年前より右頬部に自覚症状のない径1cmの皮下腫瘤に気づき近医を受診,局所麻酔下に単純切除術を施行された。病理組織学的にアポクリン腺癌を疑われたため当科を紹介受診となった。当科初診時,右頬部に約2.5cmの術後瘢痕を認めた。術後瘢痕辺縁部より1cm離し筋膜上で拡大切除術を行った。術後約1年の経過で右側頚部リンパ節転移を認め,リンパ節郭清術および,術後化学療法として5-フルオロウラシル(5-FU)とシスプラチン(CDDP)を用いたlow dose FP療法を施行したが経過中に薬剤性と思われる肝機能障害を併発したため継続できなかった。