西日本皮膚科
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症例
塩酸チクロピジンとの多剤感作を認めたフェノバルビタールによるHypersensitivity Symdormeの1例
—HHV-6 IgG抗体価の1年間の推移を含めて—
南野 義和飯島 茂子禾 紀子藤山 幹子橋本 公二木村 宏
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2003 年 65 巻 4 号 p. 359-364

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抄録

77歳,男性。脳梗塞のためフェノバルビタール,塩酸チクロピジンの内服を開始したが胃の不快感が出現したため内服開始16日後に塩酸チクロピジンのみ中止。翌日に咽頭炎,白血球減少などウイルス感染様症状と,顔面に紅斑が出現した。症状は一時期軽快したものの,フェノバルビタールのみ内服中の32日目には高熱,肝機能障害,好酸球増多を伴って紅皮症の状態となった。両薬剤によるDLST陽性(stimulation index: フェノバルビタール257%,塩酸チクロピジン210%),HHV-6 IgG抗体価2560倍などの所見よりhypersensitivity syndromeと診断した。原因薬剤としては経過よりフェノバルビタールを強く考えた。プレドニゾロン40mg全身投与にて一時改善したが,漸減にて再燃した。皮疹の増悪にかかわらず肝機能は改善し,全身状態は比較的良好であったため0.05%ジフルプレドナート(マイザー®)軟膏の外用と補液のみを行い経過をみたところ徐々に皮疹は軽快,平熱となり,肝機能も正常値化,好酸球増多も軽減した。1年に亘る測定にてHHV-6 IgG抗体価は160倍まで低値となった。全血PCR法でHHV-6 DNAは全経過陽性であり,ウイルスの潜伏感染を反映しているものと考えた。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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