2003 年 65 巻 5 号 p. 479-482
宮崎医科大学医学部皮膚科学教室の開講以来25年間に経験した熱傷瘢痕癌16例について,予後,治療法も含めて臨床的検討を行った。全16例中12例が有棘細胞癌(SCC)であり,次いで悪性黒色腫(MM)が3例,残る1例は基底細胞癌(BCC)であった。男女比は9:7であり,年齢は25~78歳にわたり平均は58.3歳(男性62.4歳,女性53.5歳)であった。発生部位では下肢が7例と最も多く,次いで頭部が4例,その他の部位が5例であった。またSCC例は同期間中に当科で経験した全SCC 230例(表皮内癌は除く)中5.2%,一方,MMは同188例中1.6%,BCCでは同322例中0.3%を占めていた。熱傷受傷から癌と診断されるまでの期問は18~74年にわたり平均50.6年と非常に長く,また受傷時年齢が高いほど癌化までの期聞が短かった。予後については,とくにSCCにおいて5年生存率が64.3%を示し,熱傷瘢痕癌以外のSCCのそれに比べて悪かった。