西日本皮膚科
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症例
乳癌を併発した水疱性類天疱瘡の1例
新垣 肇上里 博平良 清人具志 真希子武居 公子浜田 裕子野中 薫雄橋本 隆
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2004 年 66 巻 3 号 p. 241-245

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抄録

症例は52歳女性。当院受診1カ月前より四肢にそう痒を伴う環状の紅斑が出現した。近医で生検を受け, 水疱性類天疱瘡と診断された。プレドニゾロン 20mg/日処方されたが皮疹の改善を認めず全身に拡大したため当院を紹介された。入院時ステロイド内服療法に加えて, パルス療法を行ったが効果を認めなかったため, シクロスポリン 325mg/日の追加投与で水疱の新生は若干抑制された。入院中の内臓悪性腫瘍精査により乳癌が発見された。乳癌手術前にシクロスポリンの投与を中止し, 術後ステロイドの減量を行った。乳癌手術1カ月後にステロイドも中止となったが, 水疱の新生は全くみられなかった。約4年経過した現在, 無治療にもかかわらず皮疹の再燃はなく, 自験例では水疱性類天疱瘡の発生機序に悪性腫瘍が関連しているのではないかと考えた。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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