2004 年 66 巻 6 号 p. 602-607
2002年10月から2004年2月までの1年5カ月の間, 山口県立中央病院で肺癌治療のためゲフィチニブ(イレッサ®)を内服した24症例について皮膚病変の有無とその性状について検討した。皮膚症状が出現した症例は24例中19例で全体の79.2%であり, そのうち皮膚科を紹介されたのは15例(78.9%)であった。急性肺障害・間質性肺炎やその疑いでゲフィチニブの内服が中止となった症例は4例, 肝機能障害のため休薬した症例は3例, さらに皮膚症状のみで内服を中止した症例は3例であった。皮膚症状としてはざ瘡様発疹が11例(57.9%)と最も多く, 乾皮症・皮脂欠乏性湿疹8例(42.1%), 脂漏性皮膚炎6例(31.6%), 爪囲炎・爪囲肉芽腫形成5例(26.3%)の順に多くみられた。ゲフィチニブを服用する患者は進行期の肺癌患者であり, 有効例では本剤を継続服用できるか否かが予後を大きく左右する。それゆえ, 副作用として最も頻度の高い皮膚病変を十分にコントロールし, 少なくとも皮膚病変のために内服が中止されることがないようにすることが重要と考えた。その意味において, ゲフィチニブの用量の調節や投与法の工夫が有効であることが示唆された。